今回はインピーダンス特性の読み方をグラフを用いて分かりやすくご紹介します。読み方を理解することで実際にどのようなスピーカーの特性を持っているのか、またメンテナンス時においてもインピーダンス特性はスピーカーの健康診断ともいえる重要な測定項目であり、特性から何が分かるのか理解を深めて頂けると思います。

スピーカーのインピーダンスとは?

スピーカーのインピーダンス特性とは、周波数によってスピーカーの電気的な抵抗値(インピーダンス)がどのように変化するかを示したもので、一般的「16Ω」や「8Ω」や「6Ω」や「4Ω」と表記されていますが、実際のインピーダンスは一定ではなく、低音から高音まで周波数によって大きく変化していきます。

インピーダンス特性から分かること

①インピーダンス値

②スピーカーやエンクロージャーの共振周波数

③ユニットや部品の異常の有無

インピーダンス特性の読み方

基本的な2つの軸

①横軸
音の周波数を表しています。上記のグラフは10Hz~10000Hzまでの音の周波数を計測したものを表しています。

②縦軸
インピーダンス(抵抗値)の大きさを表しています。1Ω~100Ωまでを表しています。

③低域の山(共振周波数)
一般的に20Hz~100Hzあたりに大きな山が現れます。これはスピーカーの振動板が最も揺れやすいポイント(共振)を表しています。この山の頂上の周波数が最低共振周波数(f0)と言われている部分で、f0から下は音が鳴らないことを意味しています。上記のグラフに分かりやすいよう赤い線を下ろしてf0値を表示しています。このスピーカーのf0は63Hzの位置にあり、63Hzより低い音は出ないことがわかります。

④インピーダンス値
大きな山を越えた部分に④の平坦な部分があります。これを縦軸で読むと5Ωになります。このウーファーユニットは5Ωのスピーカーです。さらにわかったことは高音域に進むにつれてグラフの線が右肩上がりに高くなるということです。5Ωだったユニットも、10000Hzでは20Ωまでインピーダンスが上昇していることがわかります。これはボイスコイルが持つコイルの性質(インダクタンス)によって、高域ほど電気が流れにくくなるためです。

スピーカー修理での重要性

スピーカー修理では、見た目がきれいで音が出ていても、本来の性能が維持されているとは限りません。そのため、修理後の状態を客観的に確認するために、インピーダンス特性の測定は非常に重要です。

インピーダンス特性検査を行うことで、エッジの仕上がりやダンパ―の劣化などで左右で差があると、大きくグラフのズレとして現れ、耳では判断できない僅かな誤差も見つけることができます。又ネットワークも同様に、コンデンサの容量抜けや抵抗の破損などの耳では判断できない異常もグラフのズレとして見つけることができます。

検証しました

実際にどのくらいの影響があるのか、上記で使用したユニットに1cm×1cmの小さなテープをエッジ部分に1枚のみ貼って特性を計測しました。

たった1枚の1cm×1cmの小さなテープを張り付けただけで、本来63Hz以上で音が出ていたユニットは最低共振周波数(f0)が71Hzになり、本来出ていた音が出なくなりました。これほど簡単に特性は崩れてしまい、エッジの張り替え時など、左右で音に差が出ないよう、調整に必要な重要な検査です。

内部のネットワークも同様に、コンデンサーや抵抗の劣化によって定数が変わってしまった素子も視聴では判断できない異常もグラフのズレとして見つけることができます。

トーンクオリティでは、極めて状態の良い個体を【宝物を次の世代へ】の理念のもと、オリジナルを尊重したメンテナンスにより将来にわたり価値を維持できる状態に仕上げて出品をしております。視聴と機械的計測をし高精度の整備をすることで左右で音に差の無い音楽をお楽しみ頂けます。

実測特性データーや、使用した内部の部品をしっかり公開し、安心してご利用頂けるよう又、満足頂けるよう最大限の努力を致します。希少なビンテージスピーカーを揃えております。拝見頂けると嬉しいです。