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VICTOR SXシリーズ(黄金期)フェライトとアルニコ(特別編)

今回は、前回の中期編、SXシリーズの販売開始に続き、磁気回路について紹介したいと思います。




目次

●SXシリーズ黄金期のシステム

●フェライトとアルニコ

●超高純度鉄

●ツボ型ヨークの磁気回路

●バブルの黄金期のユニット

●SX-211

●SX-311

●SX-500

●SX-700spirit

●現代で同じようなシステムを作ったら

今回の記事では、1986年~1991年のバブルの時期に発売されたシステムを内部までご紹介できたらと思います。お役に立てるような記事になるよう努力致しますので、是非最後までお付き合い頂けますと幸いです。

【SXシリーズ黄金期のシステム】

1986年~1991年の、51ヵ月間に渡って好景気が続いたバブル期、又は平成景気。この年代のシステムは少し違っていました。磁気回路には、VICTORの過去にない、アルニコツボ型ヨークの磁気回路が使われています。

【フェライトとアルニコ】

スピーカーを振動させる際の根源となる磁気回路は、この年代では、主にフェライトとアルニコの二種類がありました。この当時珍しい物でネオジウムもありました。

マグネットの位置によって、外磁型、内磁型と別れます。

コバルトの高騰から現在では主に外磁型フェライトマグネットとなっていますが、フェライトを採用している最大の理由は、コストと、必要最低限の磁束密度を稼ぐことができる物だからです。フェライトマグネットを大きくすることで、磁気の断面積を大きくする事が可能となりますが、マグネットが露出している為、磁気の漏洩の影響は大きく、ブラウン管テレビであった時代のテレビへの影響は非常に大きかったと思います。

そこで底面にもう一つマグネットを追加し、磁気漏洩を防ぐキャンセルマグネットにて改善している物もありました。
今回、バブルの時代の黄金期のシステムの磁気回路は、アルニコ(内磁型)のさらにコストがかかったツボ型になります。

アルニコとは、【アルミ】【ニッケル】【コバルト】で鋳造された磁束密度の強い磁石となります。雄一の欠点は、保磁力がそれほど大きくない為、反磁界の大きい薄板形状では自己減磁の為、使用ができないという欠点がありました。

スピーカーユニットに使用する磁気回路では、丸棒型の形状にし、帯状の軟磁性体材料を四角に折り曲げてくびき穴を開けた物、円筒状のヨークとこのくびき穴の内側にある丸棒状のマグネットをくっつけた物を内磁型と呼びます。このような構造(内磁型)にする事で、磁気漏洩を防ぐ事ができます。又、アルニコのマグネットは、フェライトマグネットと比べ、高密度で、均一な磁束分布が可能で優れた磁気特性をもっています。コストは非常に高く、高価であり、磁束密度は非常に高く、当時最強と言われていた時代がありました。価格はフェライト磁気回路の20倍ともいわれています。



【超高純度 鉄】

アルニコマグネットを支える、四角い個体は、(炭素)、(リン)、(硫黄)などの不純物を元素を10ppm以下のレベルまで低減し、純度99.999%まで上げた純鉄になります。

超高純度にする事で、酸化する耐久性は通常の鉄の10倍以上高くなり、錆びません。

【ツボ型ヨークの磁気回路】

上記の99.999%まで上げた超高純度の純鉄を、外側の全体を覆うツボ型の形状をした磁気回路です。ツボ型にする事で、磁気抵抗を少なくする事ができます。

【バブルの黄金期のユニット】

本題に戻り、SXシリーズのバブルの年、1986年~1991年のシステムでは、ウーファー、トゥイーターにアルニコマグネットのツボ型の磁気回路がつかわれています。あまり手持ちはございませんが、ご紹介したいと思います。

【SX-211】

1988年に発売されました。当時一本価格は27,000と高価なシステムでした。SX-311の姉妹機とされ、低域には16㎝クルトミューラー製コーン紙のつぼ型のアルニコウーファーで、微細な信号にも優れたレスポンスで対応してくれます。広域のトゥイーターはフェライトマグネットとなっています。3㎝のドーム型で、この年代のブラウン管テレビに対応できるようダブルでマグネットをつけたキャンセルマグネットとなっています。

方式 2WAY 密閉方式 ブックシェルフ型
ユニット

低域 16㎝コーン型

高域 3㎝ソフトドーム型

インピーダンス
最大入力 90W
周波数特性 45Hz~30,000Hz
出力音圧レベル 87㏈/W/m
クロスオーバー周波数 3,000Hz
外形寸法 幅220×高さ372×奥行234mm
重量 7.0㎏

【SX-311】

1988年頃、当時一本価格が35,000とされ、各ユニットには、西独クルトミューラー社製の振動板が使われています。低域は20㎝のアルニコウーファーにて、磁気回路はツボ型のアルニコ磁気回路となっています。つぼ型にする事で、磁気漏洩を防ぐだけでなく、微細な信号の入力にも優れたレスポンスで対応してくれます。高域は3センチのドーム型トゥイーターにてフェライトマグネットとなっています。磁気回路には、SX-211同様、キャンセルマグネットとなっています。SX-311は、ウォールナット調仕上げと、グレー仕上げのSX-311GYの二種類があります。

方式 2WAY 密閉方式 ブックシェルフ型
ユニット

低域 20㎝コーン型

高域 3㎝ソフトドーム型

インピーダンス
最大入力 100W
周波数特性 45Hz~30,000Hz
出力音圧レベル 90㏈/W/m
クロスオーバー周波数 3,000Hz
外形寸法 幅270×高さ440×奥行248mm
重量 11.0㎏

VICTOR SX-500シリーズ 網の外し方簡単メンテナンスSXシリーズの、ウーファー、トゥイーターの網を外す方法を御紹介したいと思います。マイナスドライバーを使うと、周りのパッキンを傷つけてしまいますし、ウーファーの網にも打痕をつけてしまいます。誰でもかんたんに外せるようまとめてありますので、是非最後までお付き合い頂けますと幸いです。...

【SX-500】

1988年頃、当時一本価格が49,000と高級機でした。低域には20㎝のつぼ型のアルニコ磁気回路にて振動板は西独クルトミューラー社製の振動板となっています。高域には3.5㎝のソフトドーム型トゥイーターとなっており、こちらもツボ型のアルニコの磁気回路となっています。全てのユニットに、内磁型のアルニコ磁気回路を採用することで、高磁束、磁気漏洩を実現しています。

SX-500のトゥイーター内磁型の磁気回路内部です。とても高価な作りとなっています。

方式 2WAY 密閉方式 ブックシェルフ型
ユニット

低域 20㎝コーン型

高域 3.5㎝ソフトドーム型

インピーダンス
最大入力 100W
周波数特性 45Hz~30,000Hz
出力音圧レベル 90㏈/W/m
クロスオーバー周波数 3,000Hz
外形寸法 幅270×高さ454×奥行281mm
重量 12.5㎏

【SX-700spirit】



1992年頃発売され、当時一本価格が110,000円と超高級機でした。3WAYのオールアルニコ磁気回路の豪華な造りで、低域には25㎝コニカルドーム付きのウーファーにて、振動板は西独クルトミューラー社製を採用しています。5個のコニカルドームを付ける事で、軽い振動板の剛性を向上させ、さらに放射特性も改善しています。中域のスコーカーには、5.5㎝のソフトドーム型スコーカーを搭載し、振動系を背圧を逃がすリング型のアルニコとなります。フレームはダイカスト製のショートホーン型にする事で、放射性に優れています。高域には3.5㎝のソフトドーム型のトゥイーターが搭載され、磁気回路はツボ型となっています。このトゥイーター振動板にはとても薄くて丈夫な絹を使用し、その上に薄いゴムをラミネートした振動板となっています。

方式 3WAY 密閉方式 フロア型
ユニット

低域 25㎝コーン型

中域 5.5㎝ソフトドーム型

高域 3.5㎝ソフトドーム型

インピーダンス
最大入力 180W
周波数特性 40Hz~30,000Hz
出力音圧レベル 90㏈/W/m
クロスオーバー周波数 560Hz/5,000Hz
外形寸法 幅320×高さ580×奥行329mm
重量 20.0㎏

【現代で同じようなシステムを作ったら】

クリプトンのシステム、(KX-1000P)ペア1.000.000円以上のシステムがあります。このKX-1000Pは、2009年に発売されました。ウーファーを二基搭載する、3way、4スピーカーのトールボーイタイプのシステムになります。
ユニット構成は、ウーファーが170mmクルトミューラーのコーン紙を採用したスーパー・ツインドライブウーファー、ミッドが、170mmのクルトミューラー製コーン紙のウーファー、トゥイーターが、35mmのピュアシルク・リングダイヤフラムトゥイーターにて、全て、上記SXシリーズ同等のツボ型の磁気回路となっています。

メーカーが違うので、一緒に考えてしまうのは、少し違いますが、現在、アルニコで作るととても高価なシステムになってしまう。というのが良くわかるかと思います。
でも、とても重要なのは、フェライトと、アルニコの音質は、高価なアルニコの方が良いという科学的根拠はございません。人の耳によって、好き、嫌いがあるため、特性を除き、個人の感覚であるということです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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