【DENON DP-2000】
今回は、DENON DP-2000についてご紹介したいと思います。このDP-2000は一味違った水晶発振器を内蔵したクオーツロックといった機能がついております。この気になる機能や内部を詳しくご紹介したいと思います。

●クォーツロック ダイレクト・ドライブ・ターンテーブル
1977年発売のDENON DP-2000は、当時価格48,000と高級機でした。モーターのシャフトで直接ターンテーブルを回すACサーボ・モーターを搭載した、ダイレクト・ドライブ方式で、ベルトやアイドラーなどの回転伝達機構が無いため、それらに起因するワウフラッターや、ランプルがなく、また摩耗や変形を生じる部分が少ない為、初期性能を長期間維持する事ができます。
ワウフラッターとは、アナログ方式の録音や、再生機器の回転部のムラによって発生する周波数変化のことです。再生音の揺れということになります。ワウフラッターの性能が悪いと、演奏を録音、再生した際にビブラートがかかったように聞こえます。
ランプルとは、モーターから回転伝達機構を通してターンテーブル ピックアップと伝わる雑音的振動(ノイズ)のことです。
●回転スピード検出とクォーツロック
ターンテーブル外周の内側には、DENON独自で開発された、磁性体がコーティングされており、独自の特殊な方法で1000個のパルス信号を記録した磁気ヘッドで検出することにより、回転スピードを制御しています。又、従来にはなかった水晶発振器による両方向性フェーズロックドサーボ方式の採用で、記録波長誤差は±0.002%以下という極めて高精度となり、又検出周波数が550Hz以上という高い周波数となったため制御回路の安定度が高く、ワウフラッターは0.015%wrms以下という高性能を実現しています。
●水晶発振器とは
水晶の圧電効果を利用して高い周波数制度の発振を起こす為の物で、クォーツの時計や、コンピューターなど、現代で様々な物に使われている部品です。
この水晶発振器の内蔵こそが、このターンテーブルのクォーツロックの肝となる部分になります。
この安定性で針圧やアーム位置などの負荷条件の変化、又電源電圧や周波数の変化、温度変化などの外部による条件が変わっても、回転数の変化はほとんどありません。
ターンテーブル内側にはスピードを制御する為の特殊コーティングが施されています。シンナーなどの溶剤で掃除したり、研磨性能のあるスポンジで掃除しないようにしてください。制御できなくなり、高速回転のトラブルを引き起こします。
●新開発された特殊なブレーキ
従来のダイレクトターンテーブルにはなかった、モーターを止める際のブレーキが内蔵されています。とても素早く回転がとまります。
●わかりやすい内臓ストロボとシャッター
ストロボのコマはターンテーブルの裏側に刻まれ、それをミラーの反射でストロボの流れを見ることができます。従来採用されていた、ストロボ用のシャッターはお住いの周波数に合わせて、設定しなければいけませんでしたが、DP-2000は、発振回路で生成した高い周波数を低周波に変更することで、ストロボが流れる事なく、ストロボシャッターの調整が必要ありません。又、ストロボはとても大きく見えやすいよう改良されています。

各部分の名称がわかりづらい方は、ターンテーブルの各部分の名称と、役割、調整方法をまとめた記事が別記事にありますので、合わせて読んで頂けますと幸いです。

●スペック
駆動方式 | ACサーボモーターによるダイレクト・ドライブ |
回転数 | 33 1/3rpm。45rpm |
スピード制御方式 |
高精度磁気記録再生方式 水晶発振器によるフェーズドサーボ方式 |
ワウ・フラッター | 0.015%wrms以下 |
S/N | 75㏈以上 |
ターンテーブル | アルミダイカスト、直径300mm自重1.2㎏ |
起動特性 | 1.5秒以内で定速回転(33 1/3rpm回転時) |
モーター | ACサーボモーター |
重量 | 7㎏ |
電源 | AC100V 50Hz/60Hz |
消費電力 | 12W |