【DENON DP-3000】
今回は、DENONのターンテーブルの中で最も売れたターンテーブルDP-3000についてスペックや、魅力について詳しくご紹介したいと思います。

●DIRECT DRIVE TURNTABLE
1972年発売のDENON DP-3000は、当時価格43,000円と高級機でした。1975年には一台49,800円とされています。NHKをはじめ、民放各局の業務用として活躍していた大変有名なターンテーブルになります。
プロ設計されているこのターンテーブルは、当時購入するのも製造が追いつかない程の人気があったという歴史があるようです。
モーターのシャフトで直接ターンテーブルを回すACサーボ・モーターを搭載した、ダイレクト・ドライブ方式で、いずれの回転数の場合にも、滑らかな回転磁界が得られ、ベルトやアイドラーなどの回転伝達機構が無いため、それらに起因するワウフラッターや、ランプルがなく、また摩耗や変形を生じる部分が少ない為、初期性能を長期間維持する事ができます。
ワウフラッターとは、アナログ方式の録音や、再生機器の回転部のムラによって発生する周波数変化のことです。再生音の揺れということになります。ワウフラッターの性能が悪いと、演奏を録音、再生した際にビブラートがかかったように聞こえます。
ランプルとは、モーターから回転伝達機構を通してターンテーブル ピックアップと伝わる雑音的振動(ノイズ)のことです。
●スピード検出に磁気記録が応用
ダイレクト・ドライブ方式の性能を左右する回転スピード検出に、DENON独自で開発された、磁性体がコーティングされており、独自の特殊な方法で1000個のパルス信号を記録した磁気ヘッドで検出することにより、回転スピードを制御しています。

これにより記録波長誤差0.01%以下という高い精度で記録され、これらによって検出周波数が高く制御回路の利得および安定度が高くとれています。
この結果、ターンテーブルの応答特性、負荷特性、安定性が良くなりワウ・フラッターは0.03%以下という高性能を実現しています。
この安定性で針圧やアーム位置などの負荷条件の変化、又電源電圧や周波数の変化、温度変化などの外部による条件が変わっても、回転数の変化はほとんどありません。
ターンテーブル内側にはスピードを制御する為の特殊コーティングが施されています。シンナーなどの溶剤で掃除したり、研磨性能のあるスポンジで掃除しないようにしてください。制御できなくなり、高速回転のトラブルを引き起こします。
●ストロボとシャッター調整
ストロボのコマはターンテーブルの裏側に刻まれ、それをミラーの反射でストロボの流れを見ることができます。

ストロボ用のシャッターはお住いの周波数に合わせて、設定しなければいけません。ボルトを緩めてシャッターを動かすだけで簡単に調整が可能です。又、シャッター下についているオレンジの回転数を調整するツマミを左右に動かすと回転数の精密な調整が可能です、調整範囲は規定スピードに対して±3%となっています。

各部分の名称がわかりづらい方は、ターンテーブルの各部分の名称と、役割、調整方法をまとめた記事が別記事にありますので、合わせて読んで頂けますと幸いです。

●スペック
駆動方式 | ACサーボモーターによるダイレクト・ドライブ |
回転数 | 33 1/3rpm。45rpm |
ワウ・フラッター | 0.03%wrms以下 |
S/N | 60㏈以上 |
ターンテーブル | アルミダイカスト、直径300mm自重1.1㎏ |
起動特性 | 1/2回転以内で正常動作(33 1/3rpm回転時) |
モーター | ACサーボモーター |
重量 | 6.7㎏ |
電源 | AC100V 50Hz/60Hz |
消費電力 | 14W |
当時一か月のお給料が7万円くらいであった時代、49,800円という高価なシステムです。とても扱い易く楽しむ事ができます。この記事がお役に立てればとても嬉しいです。
DE-3000の各部調整方法、回転ムラ等の改善方法につきましては別記事でまとめてありますので、合わせて読んで頂けますと幸いです。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。